富士通ETERNUSコピー機能を徹底解説｜用途別の使い方と注意点まとめ

はじめに
富士通ETERNUSのコピー機能説明
参考資料

はじめに

富士通のストレージ「ETERNUS」には、ETERNUS SF AdvancedCopy Managerによって提供されるコピー機能があります。サーバのCPUを使わずにストレージ側でコピーを処理できるため、オンラインサービス提供中でも安全にデータコピーを行える便利な機能です。コピー機能にはいくつかの種類があり、それぞれ用途や特性が異なります。以下の表を参考に、目的に応じた最適な機能を選べるよう理解しておきましょう。

コピー処理名	コピー方式	処理概要	ユースケース
OPC （One Point Copy）	バックグラウンド・コピー	処理実行時に全量コピーを行う機能	随時・定期バックアップやリストアに適する
QuickOPC	バックグラウンド・コピー	初回に全量コピーし、その後は差分コピーで更新。OPCに比べて短時間でコピーすることが可能。	データベースなど、バックアップによる業務影響を抑えたい場合
SnapOPC/ SnapOPC+	コピー・オン・ライト	更新されたデータのみをコピー。SnapOPC+では世代管理も可能	更新量の少ないファイルサーバなど
EC (Equivalent Copy)	二重切り離し	常にボリューム更新データをコピーし、同期したバックアップを作成。一時停止・再開も可能	常に重要なデータを同期してバックアップしたい場合
REC （Remote Equivalent Copy）	二重切り離し	ECと同様だが、別筐体で実行し遠隔地にバックアップ	災対環境など遠隔地にデータを保持したい場合

富士通ETERNUSのコピー機能説明

OPC（One Point Copy）

OPCでは、処理実行時に全データがコピーされます。一度だけのコピーであればOPCで十分ですが、差分コピーができないため2回目以降のコピーには時間がかかります。

OPC処理を実行する際のコマンドは下記となります。

/opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake “コピー元ボリューム名” “コピー先ボリューム名”

・同一ストレージ内のボリュームにのみ処理を実行可能です。別ストレージへの処理は実施できません。

QuickOPC

QuickOPCでは、初回実行時にOPCと同様に全データをコピーしますが、2回目以降は差分データのみをコピーするためOPCより処理時間が短いです。日にちを置いて複数回コピーする必要があるデータに適しています。

QuickOPC処理を実行する際のコマンドは下記となります。

/opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -T “コピー元ボリューム名” “コピー先ボリューム名”
※-Tオプションをつけることで差分コピー（QuickOPC）の処理が実行されます。

同一ストレージ内のボリュームにのみ処理を実行可能です。別ストレージへの処理は実施できません。
コピー元ボリュームと同じサイズのボリュームに対して処理を実行する必要があります。
コピー完了後に発生した更新をストレージが記憶しているため、上記のような差分バックアップが実現できます。このストレージが更新箇所を記録している状態を「トラッキング状態」と呼んでいます。

SnapOPC/SnapOPC+

SnapOPCおよびSnapOPC+は、コピー元データの更新前の状態をスナップとして保存する機能です。特にSnapOPC+では、複数世代のスナップを保持できます。更新量の少ないシステムやファイルサーバのリカバリ用に適しています。本処理はコピーオンライト（Copy-On-Write）方式を採用しており、更新が発生した際に旧データをコピーして保持します。VMwareのスナップショット機能をイメージすると理解しやすいでしょう。

SnapOPC+処理を実行する際のコマンドは下記となります。

acsnap start -g “グループ名”

コピー元のボリュームが壊れてしまった場合は復旧ができないので、サーバのバックアップ等の用途には向かないと考えてください。ファイルサーバのバックアップなどの簡易的な用途に使用するのが良いです。

EC/REC

EC処理は、コピー元とコピー先のボリュームを常時同期する機能です。重要システムのデータベースなど、常に最新状態のバックアップが必要な場合に適しています。ECが同一筐体内で同期を行うのに対し、RECは別筐体で同期を実行します。

EC同期には、一時的に同期を停止できるサスペンド機能があります。サスペンドを実行してデータベースの静止点を取得し、そのデータを自動的にバックアップする運用例を、下図に示します。

EC/REC処理を実行する際のコマンドは下記となります。

/opt/FJSVswsrp/bin/swsrpstartsync “コピー元ボリューム” “コピー先ボリューム”

Advanced Copy Managerのバージョンアップや設定変更を行う際には、EC同期をすべて停止する必要がある場合があります。その場合、初回の全量コピーからやり直す必要があり、完全同期まで時間がかかるため注意が必要です。

参考資料

もっと詳細内容を知りたい場合は、富士通社から提供されているマニュアルをご参照ください。
https://software.fujitsu.com/jp/manual/manualfiles/M100001/J2X17448/02Z200/index.html