「金融DX、銀行は生き残れるか」を読んでみた


□重要ポイント

銀行ITにおける三つの変化
1. 銀行の一部機能が銀行以外のサービスにとって代わられる
たとえばクラウドファンディングのような銀行を介さない資金調達の方法が出てきた。
2. そもそも銀行を通さない決済の仕組みが広がりつつある
通信キャリアやSNS企業が決済事業に参入(d払い、PayPay等)
3. 一般の企業が銀行機能を保有する動きが出てきた
企業が銀行の代理店となることで、一般企業が銀行業を営んでいるかのようなサービス提供が可能に(JAL NEOBANK等)
みずほ銀行のシステム障害の原因
1. アーキテクチャの複雑性
 勘定系システムの本体部分が、4つの異なる基盤システムで構成されている。(OSも異なる)
2. 保守運用フェーズでのリソース削減が急であった
 有識者である各ベンダーの有識者を引き留められなかった
3. 経営とIT現場のコミュニケーション不全
 システム部門視点の適切な進言を経営トップにすることができず、結果的にリスクが高まるレベルまで人員やベンダーの要員を削減してしまった
4. 連携しにくい体制、伝達方法
 開発会社と運用会社の資本関係が異なり、組織間のスムーズな連携が阻害されている
5. 機器の所有を各ベンダーにしたこと
 ベンダー機器を従量課金制で利用している。そのため、故障時にみずほ内部の人間は対応ができない。
銀行の金融DXの方向性
1. アプリの充実+固定費の削減
 デジタルでの多様な情報やサービスの提供にて、顧客との接点を増やす。合わせて店舗削減も進める。
2. 融資系サービスによる収益の拡大
 AIやデジタル化による審査や事務管理のコスト削減。スピード感アップ。
3. 投資支援系サービスによる収益拡大
 デジタルによる分散投資ポートフォリオの提供(ロボアドバイザーサービスの適用など)
4. 個別のコンサルティング付き金融サービスの提供
 人材再配置、コンサルティング人材の教育
5. システム自体の販売による収益拡大
 多システムでも利用可能なシステムの構築提供、BaaS
□思ったこと
これまで以上に銀行の経営スタイルが大きく変わっていくなかで、私のような金融系SEの業務内容も変わっていかないといけない。特にBaaSの領域は大きく市場を拡大する可能性があるので、銀行だけではなくそれ以外の業種の企業の動きをウォッチして、BaaSを有効活用するアイデアを考え続けていく必要があると感じた。

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